私達がこの瞬間においていつだって必死なのは、残念ながらとても喜ばしいことだ。

起床。思いっきり寝坊。おい！！
どうやらお客さんに目覚ましのアラームを止められたらしい。
今日はクラスメイトと一緒に上野の美術館に見学に行くというのに、思いっきり家を出る予定の時間に起床してしまう。あーーー。
お客さんを散々いじめ倒し、急いで新宿へと向かう。もう2時間の遅刻は必須。腹の虫は治まらない。

新宿に向かう。お客さん、というか知人も新宿で人と待ち合わせをしているらしく、一緒に小田急線。この時点で知人も待ち合わせに間に合ってはいない。オカシイと思う。


バタバタと南口へ。桃子さん、佳苗さん、あきちゃんとようやく遭遇する。彼女たちは天使のような…いや、むしろ天使な感じで
「軽く昼ごはん食べよっか」
なんて言ってくれる。
愛してるよ皆。もうその笑顔にどんな感情が有ろうとも、私は鵜呑みにして生きていくよ。大好きだよ。

昼ごはん。パフェとか食べちゃう。
映画の話をする。やっぱりもの凄く【SAW】が見たい。ってか、時計仕掛けのオレンジも見たい。

店内には、テクノなんだかよく解らないBGMがずっと流れてて、終始脳髄を羽箒でくすぐられている様な不快感を味わう。


上野へ。
美術館に行く。鳩を追っかけまわしたりしながらホームレスの方々のブルーシートハウスを流し見る。
なんつーか、無駄に秩序だってて、現代美術ってこういうことを指すんじゃないかと思ったりする。
美術展はそこそこに楽しめた。
最初、「つまんねーつまんねー」と思ってた分、嬉しい裏切られ方をした気分。
こないだの映画とは逆の先入観効果ってやつだね。


新宿へ戻る。観葉植物を入手する2つは自分、もう一個は知人へのプレゼント用に。
ここらへんで友人とは別れて、独り町田へ。
今日はこれからゆうこと会うからだ。


町田。ゆうこは稽古帰りにちょっと用事が入ったらしく、彼女が来るまでの時間をデニーズで過ごすことに。
美味いんだか斬新なんだかよく解らないゆず風味の牡蠣ドリアを食べる。お口の中で味同士の大戦争が勃発する。そんなんでいいのかデニーズ。でもまた来たとき、きっと同じものが食べたくなると思う。それでいいよね、デニーズ。

薬局に行く。
今日突然生理が来た為、お徳用パックを2つ買う。


10時弱。
ゆうこと感動の再会を果たす。
あぁ良かったお互い無事で。自分必死で恐い人達になめられないようにガム噛んでたよ。
いちゃいちゃと仲良く手を繋いでゆうこ宅へ。
途中カラオケ勧誘に「いらないいらない」「お呼びでないぞーぃ」と普通に話しかける自分。ふふ。

ゆうこ宅。
ヤラハタ仲間の春田がインフルエンザにかかってしまったため、今日のヤラハタ協議会は2人。話す事がなくなると思いきや。なかなかどうして話題は尽きない。
何か、電話とかもよく来る。
春田からも電話が来る。
養生中とは思えない彼女のテンションに二人とも飲まれる。
本当に仲が良くて困る。いや困らないけど、紙一重で困りそうなほど、仲が良くて嬉しい。落涙しそうに。

その後、ゆうことあくまで知識欲を満たす為だけの下ネタ談義を醸す。
ゆうこは色んな意味で私よりも純粋だったらしく、【包茎】というものがどんなものか知らなかった。
取りあえず、そんな彼女をもっとむっつりにさせるため、包茎の種類と、自慰行為の必要性とそれがもたらす効用、男性器と女性器のしくみについて真面目に話す。
そんなことをしていたら4時になる。

歯磨きをしているうちに、ゆうこ就寝。
のそのそと電気を消して、目覚ましをセットして、となりにもぐりこむ。

こんな風に生きるって悪くない。
私は必死で、周囲もそれなりに必死で。
私は早く大人になって、そうすれば傷つかないで夜更かしが出来るようになると思っていた。
実際、今でもそう思ってる。
でも。
残念ながら喜ばしいことに私は必死だ。
生まれた瞬間、あの時から。
私は未だにうまく言葉を噤めないままで。
ゆうこの寝顔と、カーテンを突き抜ける容赦無い日差しと、生理中で肌荒れの自分。
私は、いつか動かなくなるその時に、言葉をちゃんと自分のものにできれば充分だと感じた。