起床。
肘から手首に掛けて。
太ももの付け根からヒザ下に掛けて。
こめかみの奥深くが。
扁桃腺が気道を圧迫。
早い話が

死ぬほど痛い。

身体がきしむような音を立てて。
本当にきしんでんじゃね?

学校にひいひい行く。
休んじゃえば良かったのかもしれないけど。
今日はデザインの作品を回収しなければならないのだ。
回収しないと単位落ちるのだ。

本当に返されるだけだった。
こんな5分足らずのことの為に私の体は更に悲鳴を上げる。
実際悲鳴を上げていた。
ぁあぁっぁぁあぁぁあぁああ!!

保健室に行く。
ここの女医さんは私のことを姉さんと呼ぶ。
「本番近いのに大丈夫なの姉さん」って
一番痛い部分を綺麗な笑顔で突いてくる。
体温計を借りる。
実は私去年上京してから一回も体温を測ったことが無い。
ここで測って高かったら精神的に負けそう。
でも低かったら気の迷いで済ませられそう。
どうする自分。

素直に測ったところ、38℃を軽く越していた。

最近気をつけていたはずなのに何たる失態。
インフル何とかさんだったらどうしよう。
明日の授業も休めやしないのに。
ろくに働かない頭を抱えてベッドに入る。
爆睡。

それから私はこんこんと眠り続け
その間に女医さんは近場の病院に電話してくれて
佳苗さんもちょりっと様子見に来てくれて
私はずうっと嫌な夢に囚われてた。
不定形のスチームみたいなゆらゆらが私の視界を覆ってて
私はうなされながら思い出す。

「自分の目で見えるとこまでしか世界も宇宙も存在しないんだよ」

これ、誰の言葉だっけ…。

私、自分の手も見えない。
ゆらゆらは容赦無い。
自分を見失うってこの事か。

一本取られた。

辺りが暗くなって来て、起きたら熱が37.8℃になってた。
近場のお医者さんが保険証が無くても診てくれるって。
女医さんが検査だけでも受けなよって微笑んだ。
「スイマセン、自分が不甲斐無いばかりにこんなお手数掛けちゃって」
と謝ったら
男気はこんなときでも忘れないのねって笑われた。

バスを使って病院へ。頭には冷えピタがついたままだが気にしない。気にする余裕も無い。
待合室は結構空いてて、【マンガ・心筋梗塞をやっつけろ!】を読んだりする。
そういやうちの家系、心筋梗塞と糖尿病と結石と盲腸が多いんだっけ。

呼ばれて診察を受ける。
優しそうな女医さんだった。ここで自分が今日はブラジャーをし忘れてたことに気づき「胸の音聞きますねー」の時自分でどこまで上げたら良いかパニくったりする。
幸いそんなに喉は腫れてないとの話だった。
良かった。声が出なくなったら劇が出来ない。涙が出そうになる。
インフルエンザの検査。綿棒で鼻の奥の粘膜を採られる。
そこそこに痛くてむず痒くてこっちでは鼻血と一緒に涙が出た。

結果。インフルエンザ反応は陰性。

よし!と喜んだけど、発症してからあまりにも時間が経ってないと反応がちゃんと出ない可能性も有るには有るらしい。
でもまぁ熱は37.1℃まで下がってたし、とりあえず総合感冒薬と熱が酷い場合の解熱剤を貰う。
独り暮らしだって言ったら

医者「そういう時は友達を呼びなさい。頼りなさい」

自分「友人知人は皆私の自宅から遠いんです(てか誰もそんなに心配してくれないから自分の事なんざ)」

医者「困ったわねえ。とりあえずうどんとかポカリスエットとか買いこんで。脱水症状が一番怖いから」

自分「はい」

医者「救急車も無料だからガンガン使ってねしんどい時には。あれ、有料だと思ってる人多いのよ」

自分「はい。はい」

医者「まぁ今日はとりあえずうどんとか(以下略)」

丁寧なんだか言ったことを片っ端から忘れていくのかしばらく同じ話を聞く。
有難う御座いますって言って女医さんの顔を見たら

ヒゲが生えてた。

この事実で一番体力を消耗した気がする。

気力だけで帰宅。アクエリアスの1リットルボトル2本とゼリー、うどんなどを買い、冷えピタを貼り直しぶっ倒れる。

そのまま寝そうになるが母からの電話で起きる。
風邪引いたって言ったら
「ヴァーッカ」と有りがたい言葉を頂く。
その一言が暖かく胸にしみた…ら良かったんだけど。

自己管理の悪さに泣きそうになる。
散々気をつけてるつもりだったのに。
アクエリアスをがぶ飲みして、風呂の準備して、化粧落として。
うどん食べて、薬飲んで、日記書いて。
こういう風に熱が出ちゃう風邪はこっち来てから初めてで。

生理じゃないのに下腹が絞られる様に痛い。
私の中の毒が色濃くなっていく。
ゆらゆらしたものが形になってしまう。
寂しい、寂しくて、子宮の隅っこが震えてる。
耳鳴りがロックを奏でてる、歌詞は聴き取れない。
私は怖い。
弱音が形を持ってしまいそうでとんでもなく怖い。
着床したそいつは、いつか出てきそうで。それはいつなのか解らなくて。
私は自分の猛毒を出産するのが怖い。
そうなったらそいつに囚われてしまう。

自分のお腹を抱きしめるようにして横になる。
内側で怯えてるゆらゆらは、今もずっと暴れてるままで。
そいつは時々自分と同じ顔で泣いているように見えて。
私は私で誰かに頭を撫でて欲しくて泣けてきて。

「だいじょうぶだよ。明日の朝になったら全部だいじょうぶになるから」

私は遮光カーテンで閉ざされた暗闇に語りかける。

そこには誰もいない。
解ってるよ、誰もいない。

自分以外には。

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