今日はとうとう上京する日だ。
そそくさと起きて母のリュックサックからおろしたての靴下を失敬する。
母と自分は足のサイズが同じな為、こういうときとても都合がいい。この点においてだけ遺伝子を評価する。いいね、ヒトゲノムいい感じ。人毛飲む、と書くと嘔吐しそうだが。


ぼんやりと方言丸出しの母方の祖母に癒されつつ、お茶を飲む。
炊事を終えた母に靴下を借りたことを告げると
「それ、父方のおばあちゃんのよ。まだ残ってたからあんた穿くかと思って持って来てたの」と一言。
驚いた。
うちは母も足が小さい。私も小さい。
でも、父方の祖母とも諸事情により何の血も繋がってないのに、足のサイズが同じ。これはどういうことか。

まぁ、どういうことかって、単なる偶然なんだろうけど。

本当は他人だってことを一切私に言わないまま最後までちょっと微笑んで火葬場に消えてった父方の祖母。
長らく胃の病気に悩まされた祖母の骨はほとんどが熔けて灰になっていて、釜から出てきた台の上には何年か前に手術で埋め込んだ足の骨を支える為の鉄のボルトだけがどでんと転がっていた。
黒くなった金属は、何の因果か祖母の瞳のように怖いくらいに光っていたのをまだ覚えている。

その時、祖母ののこした物は何も無いのだと気の毒に思って泣いた。
しかし、それから何年もの時間を通り越してからいきなり出てきた靴下は、あまりにも自分にぴったりだった。
血の繋がりでも骨でもなく、靴下を残していった祖母。
そういう人生も、すこぶる良い物ではないだろうか。

そんなことをつらつら考えていると、出発の時間になる。
ちょっとセンチメンタルな気分になりつつも家を出る。


駅でショーツ福袋を話の種に買う。
特にどうということも無い。

母と別れ、新幹線へ。
新幹線内でキチガイさんがぎゃあぎゃあ騒いでいた。
今年初のキチガイさんだが、特にどうということもない。


適度にうろうろしながら一度の迷子にもならずに無事自宅の最寄り駅に着く。
帰省する際に冷蔵庫の中のものを一掃してしまったので、食料を買わなければいけない。幸い餞別に貰った商品券もあるので、近場のジャスコへ。

余談。
帰省した初日に母に言われたことだが、今の時代はどこに性病が転がっているか判ったもんじゃないので女性も避妊具を携えるべきだ、という言葉を思い出す。
まぁ確かにそうだ。
多くの男性は財布に入れてるそうだが、そういうふうに携帯しているとかなりの確率で劣化しやすくなるのでそんなもんは信用ならない。
幸いジャスコには薬局もある。
……確かに女性にも避妊具の携帯は必要ではあるが、果たして今買うべきだろうか?
うーん。恋人いなくなったばっかしだしなあ。当分する予定は無い。下手したら死ぬまでセックス出来ないかもしれない。
【死ぬまでセックス出来ないかもしれない】と改めて文章で書いてみると・・・怖いなー。うん。何か凄い怖いよこの文。世の中の10代後半のイマイチぱっとしない童貞って四六時中こんな薄ら寒い戦慄を覚えながら日々を送っているんだろうか。だとしたらすげえ精神力だ世の中の童貞。
【死ぬまでセックス出来ないかもしれない】…やっぱり怖い。それは嫌だ。セックスは怖いが死ぬまでには一度はやりたい。
いや、何度かしたい。三度くらい。寧ろ三度以上できるに越したことは無い。
しかしなぁ、現状がすこぶるセックスから遠いしなぁ。セックスしないんだったら避妊具なんかいらないしなぁー。
さぁ!どうする!!?



買ったか買わなかったかは、敢えてここでは言いません。
そういえば野菜だの肉だのを抱えてえっちらおっちらレジを通過したら小太りのおばちゃんが白目剥いてぶつぶつ言いながら自分の指を噛んだり舐めたりしていた。
町田で出遭ったキチガイさんも白目剥いてたな。
最近のキチガイさんの間では白目がきてるんだろうか。
今、白目が熱い!とか。
え〜アンタ白目ってないの〜?ダッサ〜!!とか。
そういう時代になりつつあるんだろうか。

帰り道で今度は身長が1mあるかないかくらいのやたら着飾った(花とか付けてた)おばちゃんが走ってすれ違って行った。
特にどうということもなかった。

…わけないだろ!!何今の!?妖精!!??

タクシーで帰宅。家までの結構長い道のりを注意して見ていたが、特に今日この町でカーニバルが有るような気配は無かった。
あのミニおばさんは何だったんだろう。
町並みも、人々も、夜の気配さえも特にどうということもなかった。


我が家に帰宅。自分で久々に料理をする。特に腕は鈍ってなかった。
東北で買ったショーツの詰め合わせを開けてみる。中身が見えない包装になっていたのでどんなに奇天烈な物が出てくるか危惧したが、なかなかどうして可愛らしい物ばかり。
そんな中、同じ物が2着有る。まぁ福袋なんていい加減なものだから……ってええぇえ!?

片方ティーバックじゃん!!

その他にも紐パンややたら股下が浅いのにスケスケ(油断したら陰毛はみ出るんじゃない?)のショーツが稀に出てくる。
穿くか穿かないかは、敢えてここでは書きません。

寂しさが無いわけではない。涙だってどっから出るんだってくらい垂れ流してる気もする。

でも。頑張ろうと思う。描きたいことも書きたいことも有るし。そろそろバイトもしなくちゃいけないし。


慣れてるんだ。独り遊びには。

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